1.紹介する裁決
① 令和3年5年27日大阪地裁
判決結果:棄却
出典:TAINS Z999-2173
② 令和3年12月2日大阪高裁
裁決結果:棄却
出典:TAINS Z999-2176(メールニュース650)
2.裁決の概要
【事案の概要】
- 税理士である控訴人は、A社の関与税理士であったBからA社の所得金額を圧縮する相談を受け、A社の代表取締役であった亡CがA社に対する貸付金債権のうち4億1300万円について生前に債権放棄していたにもかかわらず、債権放棄額を3億円に減額した債権通知書を作成し、A社の債務免除益を1億1300万円減少させることによって、その相談に応じた。
- 亡Cの相続人らは相続税申告に係る修正申告書を提出し、重加算税が賦課決定された。
- A社は、亡Cが生前に3億円の債権通知を作成されたかのように装い債務免除益を過少に計上したものと認められるため、重加算税の賦課決定処分を受けた。
- その行為は税理士法36条の脱税相談に当たるなどとして、処分行政庁から、税理士業務の禁止の処分を受けた。
- 控訴人は、脱税に関する「相談」に当たらないから本件処分の取消しを求めた事案である。
【争点】 原告の行為が税理士法36条、45条1項の規定に該当するか否か。
具体的には、原告の行為が「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為」に該当するか否か。
具体的には、原告の行為が「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為」に該当するか否か。
税理士法36条の「相談に応じ」とは、税の逋脱の具体的方法等について相談相手となり、肯定的な回答をすることをいうものと解される。
課税当局
税理士法36条の「指示をし」とは、適正な納税義務の実現を回避させ、又は税の逋脱を図るための具体的な方法を教示することをいうものと解される。
課税当局
納税者
税理士はが他の税理士かから脱税に関する相談を受けたとしても、他の税理士の判断のもとで税務申告書類の作成が行われるものであり、相談を受けたこと自体によって納税義務の適正な実現は阻害されない
納税者
亡Cに係る相続税の調査及びA社に対する法人税の調査の経緯からすると、原告が税理士として問われることはないから、本件処分は違法だ
3.裁決書を読む前に
税理士法の定め
脱税相談等の禁止
税理士法36条は、税理士は不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない旨を規定する。
脱税相談等の禁止
税理士法36条は、税理士は不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない旨を規定する。
4.判決書を読んでみる
税理士が不正に租税の賦課・徴収を免れることにつき相談に応じる等の上記税理士の使命に反する行為に及ぶことを禁止した上、これに違反した者は税理士として不適格であるとして、1年以上の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分という重い懲戒処分又は刑事罰をもって臨むものとする趣旨であると解される。
裁判所
原告はA社が法人税の納税義務を免れるための相談を受けたのに対し、亡CがA社に対して生前にしていた債務免除額を減額させ、A社の債務免除益を減額させることを装い、A社が法人税の納税義務を免れることを提案してものといえる。
裁判所
原告は、A社が法人税の賦課を免れる具体的方法についての相談相手となり、肯定的な回答をしたといえる。したがって、原告の行為は税理士法36条の「不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、・・・相談に応じ」に当たる。
裁判所
【まとめ】契約関係のない脱税相談も税理士法36条に該当することになる。
5.分析してみる
ここにでてきたB税理士は何か処分があったのかな?
相続が関係するとやはり難しいよね。金額も大きいし。
こんにちは
納税者
納税者
ここに文章