土地の評価で鑑定評価額が認められるか?

1.紹介する裁決

令和4年9月22日非公開裁決
裁決結果:棄却
出典:TAINS F0-3-870(メールニュース649)

2.裁決の概要

【事案の概要】

  1. 納税者が相続で取得した土地について相続税の申告を行った
    (土地1、土地2、土地3それぞれ1つの評価単位として、評価通達により評価)
  2. 土地の価額は鑑定評価額が相当であるとして更正の請求をした
    (土地1~3全体を宅地見込地として、転換後・造成後の想定更地価格をベースに控除方式を適用し、鑑定不要価額を算定)
  3. 課税当局が更正をすべき理由がない旨の通知処分を行った
  4. 納税者が原処分の全部の取取消しを求めた事案

 

【争点】

 

 各土地の申告評価額は時価を上回るか否か

納税者

土地1~3の最有効使用は一体開発した上で戸建住宅用地として分譲するから、一体評価して、一団の土地として全体に評価通達20-2(地籍規模の大きな宅地)を適用すべき

土地1は自宅等、土地2は畑、土地3は家屋3棟として利用されており、現況に基づき評価することが不合理とは言えず、それぞれ異なる単位で評価すべき

課税当局

3.裁決書を読む前に

相続税法第22条の「時価」について

 

特別の定めがあるものを除くほか、相続等により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による旨を定めている。

ここにいう時価とは、当該財産の客観的な交換価値と解される。

 

課税実務においては、評価通達において財産の価額の評価に関する一般的な基準を定めて、画一的な評価方法によって相続等により取得した財産の価額を評価することとされている。

 

評価通達を画一的に適用することによって、当該財産の時価を超える評価額となり、適正な時価を求めることができない結果となるなど、特別の事情がない限り、評価通達の定める方法によって評価するのが相当。

4.裁決書を読んでみる

土地2は、土地1及び土地3と一体として利用されていた事実は認められない。土地1と土地2はそれぞれ一つの評価単位として、土地3はその上に存する家屋の各棟の敷地をそれぞれ一つの評価単位として取り扱うことが相当である。

審判所

相続税法第22条に規定する時価とは、現況に基づかない仮定される最有効使用ではなく、相続開始時の対象不動産の利用状況を前提に算定されるべき

審判所

本件鑑定評価額は各土地全体を「宅地見込地」として、転換後・造成後の想定更地価格をベースに控除方式を適用して算定されており、相続開始時における対象不動産の現況により算定される相続税第22条に規定する時価とは前提を異にする。そうすると、申告評価額と鑑定評価額との間に大きな乖離があることをもって、評価通達の定める評価方法で適切な時価を算定することができない特別の事情があると認められない。

審判所

【まとめ】

 評価通達の定める評価方法が一般的に合理性を有するものであることからすると、評価通達の定める評価方法によって算定された本件、各土地の価額は、いずれも相続税法第22条の「時価」と推認される。納税者が主張する事情は、いずれも評価通達の定める評価方法で適切な時価を算定することができない特別の事情には該当しない。

 したがって、本件申告評価額は、時価を上回るものではないと認めるのが相当である。

 

5.分析してみる

今回の場合は、土地をそれぞれで評価するのか、まとめて評価するのかが問題になったが
評価の単位でどれくらいの評価額の差になったのかな?

 

今回、納税者が宅地見込地として、転換後・造成後の想定更地価格をベースに評価しているが
そもそも相続開始時って当然なんじゃないのかな?
このように転換後・造成後の想定更地価格なんかで評価しているのが、ほかの判決や裁決であるのかな?

こんにちは

納税者

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